新連載で振り返る2019年の少年ジャンプ
はやいことに2020年も4分の1が過ぎ去ろうとしています。
では2019年のジャンプ新連載を振り返ります。
参考サイト様
https://mdb.way-nifty.com/bokunenjin/2019/01/2019-f6e1.html
僕の過去記事
新連載で振り返る2016年の少年ジャンプ - 屈強な男性のブログ
新連載で振り返る2018年の少年ジャンプ - 屈強な男性のブログ
チェンソーマン
藤本タツキ 2019年01号 - 連載中
荒い絵やグロい描写など、呪術廻戦と似ている要素が多いので、 連載当初は「また同じようなマンガが始まったなあ」くらいにしか思わなかったが。
こっちのほうは主人公がバカだ。
熱血漢のくせにクールな虎杖と比べると、本能のまま行動するデンジのバカっぷりが際立って面白い。
そして人の命が軽い。
まるでギャグのように死んでゆく。
というか、ギャグのために殺していく。
つまりこれはアクションマンガではなくて、不条理ギャグマンガである。
そういうことに気が付くと一気に、面白く読めるようになった。
お気に入りのキャラはコベニちゃんです。
ne0;lation
依田瑞希 2019年2号 - 2019年22・23合併号
ハッキングマンガ。
生意気な少年天才ハッカーが悪人を「カタカタ・・・タンッ」でやっつけるマンガ。
連載中は本職のSEやネットワーカーに酷評されていた。案の定19話で打ち切りになったが、僕はそんなに嫌いじゃない。
エピソードごとをみれば光るものがある。
たしかに「プレイヤーの感情を乗っ取るネットゲーム」はイマイチだった。
この漫画で言う「コンピュータ」とは「魔法」と同義なので、こまかなことをかんがえてもしょうがないと思って読んでいても、無理があると思った。
ただ、「峠の走り屋との勝負」は面白かった。
これも無理があるが、自動車レースという設定自体として面白い。
というか、僕がサイバーフォーミュラ好きなので、コンピュータXマシンの組み合わせに燃えるだけであるが。
ハッカーものというのは、どうしてもチームのブレインにならざるをえず、自分で行動を起こさない。いわゆる安楽椅子探偵だ。
アクションの表舞台に立たせることが難しいが、このエピソードは主人公が前面に立っていたような気がする。
そういえばDrストーンの千空も頭脳役だが、彼は常に最前線で活躍している。ストーリーをすごく工夫しているのだろう。
ハッキングという難しいテーマを取り扱うには、かなり練った設定が必要なのだろう。
獄長ヒグマ
帆上夏希 2019年3号 - 2019年24号
地獄から現世に逃げ出してきた悪霊を地獄に送り返すマンガ。
ようするに幽遊白書。
絵もアクションも上手だが、いまいちスカッとしないマンガだった。
主人公がウジウジしているのが良くないのかな・・・
変なところで過去編を挟んだりして、その性格をフォローしたりしていたが、なんか心に響かなかった。
19話で打ち切り。
最後の西遊記
野々上大二郎 2019年14号 - 2019年38号
ホラーアクションマンガ。別に西遊記である必要はない。
オヤジがある日突然つれてきた「妹」を介護するマンガ。
とにかく小学生でありながら友人とも遊べず「妹」の介護を強制させられる主人公の龍之介君が可哀そうでしょうがない。
あまりに理不尽なオヤジに腹が立つし、龍之介の気分も終始暗いので読者の気分も暗くなる。
まあ、最後のほうは「妹」が行動的になったり、かわいいヒロインのエステルちゃんがコスプレしたりして、ようやく雰囲気が明るくなったころに、あえなく打ち切りとなった。
あと、主人公の友人で、絶対にフードを脱がなかった子は何だったんだろう。
伏線だったのだろうか。
神緒ゆいは髪を結い
椎橋寛 2019年15号 - 2019年52号
ぬらりひょんと孫でおなじみの椎橋先生が送るファンタジー恋愛漫画・・・?
なのかな?
とにかく迷走に迷走を続けてジャンルすらよくわからなくなったマンガ。
最初は「おしとやかな淑女/暴れん坊のスケバン」2つの顔を持つ二重人格ヒロインを軸にしたラブコメマンガだった。
途中からスケバンのほうをフォーカスした、スケバンバトルマンガになり、京都府代表スケバンとか、静岡県代表スケバンとかと戦うバトルものになった。
まるで金剛番長の女版だ。
で、結局、スケバンたちの黒幕は、日本を支配する大妖怪であることが判明したりして・・・結局、ぬらりひょんの孫じゃん!
これは作者の迷走ぶりを楽しむマンガであるが、最終的にたどりついた妖怪バトル編が一番面白かった。
椎橋先生は絵がとてつもなく上手だが、妖怪が出ていないシーンは「ちょっと絵が古い」ように感じてしまう。
妖怪さえ出ればこれほど素晴らしい作家はほかに居ないのだけれど。
結局、妖怪特化型作家なのか・・・?
サムライ8 八丸伝
岸本斉史(原作)・大久保彰(作画) 2019年24号-連載中
あのNARUTOの岸本先生が満を持して送る本格SFクソマンガ。
近年ではロボレーザービームもそうだったが、なんで大ヒット作家の続編ってこんなにつまらないのだろうか?
打ち切り候補だが、不思議と連載中。
これを連載するなら最後の西遊記の続きを読みたかった。
たぶんこれからも「これを連載するな○○の続きを・・・」と呼ばれ続ける運命にある、ある意味不幸な宿命を持ったマンガである。
ふたりの太星
福田健太郎 2019年25号-52号
「ものの歩」より将棋を描いていない将棋マンガ。
昼と夜で人格が交替する「太星」という少年が主人公。
昼は「星」、夜は「太」として将棋を指す。
設定は面白いのだが、今一つ活かし切れていない感じ。
そんな主人公よりも拘束具に身を包んだライバル棋士のハガデスが面白い。
なぜ将棋会館で拘束具なのだろうか・・・?
しかも、拘束具以外の思考は割と常識人的だったりして、なんかアンバランスな魅了に満ちている。すごく好きなキャラクターだ。
他の棋士達も変態ばかりで、将棋そっちのけで面白い。
心理描写も独特でセンスが光る。
僕はこの作者の、前作、デビリーマンも好きだった。
ぜひ次作にも挑戦してほしい。
次は変態たちがヒロインを奪い合うような、ラブコメマンガなんかどうだろうか。
ビーストチルドレン
寺坂研人 2019年26号-2020年1号
便乗できずに打ち切りになった。
絵も下手で、ラグビールールの説明もわかりづらい。
読めば読むほどアイシールド21の素晴らしさがわかる。
そして練習試合で終わったスポーツマンガとなる。
なんでジャンプのマンガって「メンバー集め」「紅白戦」「練習試合」の段階を踏ませたがるのだろうか。いきなりトーナメント一回戦でもいいじゃないか。
この漫画のことについては、それ以上に述べることがない。
印象に残ったキャラクターもいなかった。
トーキョー忍スクワッド
田中勇輝(原作)・松浦健人(作画) 2019年27号-2020年02号
ニンジャマンガ。
和風でサイバーパンクな雰囲気がAKIRAっぽい。
原作がついているとは思えないほどの迷走ぶりであった。
序盤は依頼人の美女を守ったり少年を助けたりして、ニンジャ版のシティーハンターのようだったが、途中からニンジャ組合みたいなやつに呼び出されて新人研修を受けることになる。
結局、主人公の立ち位置はなんだったのだろうか。
名の売れたニンジャのクセに、新人研修みたいなやつ受講しているし・・・。
そもそも新人研修ってなんの意味があるの?
ハンター試験や中忍試験みたいに人生を掛ける価値もないし・・・。
そんなこんなであえなく打ち切り。
ただ、作中にでてきた空飛ぶバイクっぽいメカは格好良かった。
夜桜さんちの大作戦
権平ひつじ 2019年39号-連載中
スパイ一家に婿養子に張った主人公が頑張るラブコメアクション。
SPY×FAMILYと設定が被っているように見えて、全然設定が異なる。
こっちは家族全員がスパイなのだ。
テンポがいい。
主人公が惚れたヒロインと結婚する。
そしてヒロイン一家に鍛えられて、新米スパイとして活躍する。
ここまで3話くらいだと思う。
新米とはいえ、この世界のスパイは超人を意味する。
平凡な主人公が、特訓シーンを経て、いきなりその辺のチンピラなどワンパンで倒せるスパイ(超人)になったのだ。
この辺のノリはスパイものというより、変身ヒーローのノリに近くて好きだ。
今年はヒグマや西遊記など、重い設定のマンガが多かった。
このくらい軽い感じが心地よい。
magicoのときもそうだったが、若夫婦のイチャイチャは一定の需要があるらしい。
現在も連載中。
ミタマセキュ霊ティ
鳩胸つるん 2019年40号-連載中
少女漫画っぽい絵柄の不条理ギャグマンガ。
主人公ミタマとヒロインハゼレナの掛け合いが面白い。
ハゼレナが引き連れている大量の背後霊も回を追うごとに個性的になってきている。
ギャグマンガ不足の現在のジャンプにおいて、一定の席を確保している。
総評
こうやってみると2019年はたいした連載がなかった。
大型連載に育ったのはチェンソーマンだけだ。
そろそろ鬼滅の刃がクライマックスなので、2020年ではもう一枚看板を作る必要がある。
「ふたりの太星」や「最後の西遊記」の作者にもう一度連載をやってもらってほしい。