超大河漫画『カルカラレルカ』を400話くらい読む
Web雑誌「コミックGANMA!」で連載中の『カルカラレルカ』レルカシリーズをまとめて読んだ。
これは惑星アークに地球人が入植して、モンスターとしか思えない現地生物や、ディライブと呼ばれる先住民と戦うバトルものだ。
バトルは頭脳能力バトルだ。ジョジョとかハンターハンターの系譜だ。とある魔術の~シリーズを思い浮かべてもいい。
しかも大河SFだ。
人類の目の前に突如として現れた『惑星アーク』とは?
そこに住まう先住民『ディライブ』とは?
そして移住した地球人類が待つ運命とは?
まあ、謎が多い。
多分、すべての謎の答えは作者の頭の中にあるのだろう。
キャラクターも魅力的だ。個人的な押しは第二部の主人公ハグルだ。
いったん広告を張っておく(自分には広告料は入らないけど)
これはクラウドファウンディングで2000万円あつめて作った単行本の広告なので、いまポチっても買えるか不明だ。
『カルカラレルカSR-H PROSPERITY』全話書籍化プロジェクト - CAMPFIRE (キャンプファイヤー) (camp-fire.jp)
カルカラの特筆すべきはその分量だ。いまのところシリーズは3部ある。
カルカラレルカ 159話
カルカラレルカ SR-H Prosperity 203話
カルカラレルカ SR-H CATASTROPHE 76話 (連載中)
ストーリーは長いが、そしてタイトルに含まれた『狩るか、狩られるか』というテーマの残虐さは一貫している。
3部通じて、主人公は地球から来た入植者で、アークの先住民(ディライブ)と対立して戦争になる。
敵味方入り乱れてのバトルになり、双方バンバン死んでいく。
「コイツ重要キャラじゃないのっ?」ってのもアッサリ死ぬ。
戦争そのものも複雑だ。
敵であるはずのディライブも一枚岩でなく、個人個人によって抱える事情も様々だ。
利害が一致すれば「あれっコイツ味方になるの?」って強敵も仲間になる。
また逆もしかりで、味方が裏切ったりするのも日常茶飯事。
ただでさえ多いキャラクターたちが、敵が味方に、味方が敵に・・・戦況は2転3転する。
複雑なSF設定も相まって、「わけわかんなーい」って投げ出したくなりそうだが、意外と理解できる。
これは作者の構成力の素晴らしさだと思う。
しかも、キャラクターの行動原理がハッキリしているので、「このキャラはこういう動機で行動しているんだな」というのが理解できていれば、物語の大筋は見逃さない。
いろいろ褒めたけど、欠点の多い漫画でもある。
一番の問題は絵だ。
下手なわけではない。とにかくムラがある。
絵柄に癖はあるが、丁寧に描いたキメゴマは息を呑むほど上手い。
ただ、雑なときは子供の落書きレベルで下手くそだ。
これは「コミックGANMA!」全体に通じる傾向だ。この雑誌はセミプロが描いた『同人誌』みたいな雰囲気がある。
ジャンプと読み比べれば完成度に雲泥の差がある。
しかし、カルカラは面白い。その辺の小奇麗なマンガより圧倒的に。
絵が雑っていう欠点も、物語を先に進めたい作者の情熱の結果だと思えば許容範囲だと思う。
総じて、難があるマンガではあるが、寛容に受け止められれば、沼のようにハマれるマンガだ。